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2015/06/25

9割の会社で定めている！？慶弔見舞金規程

会社で事業を行なっていくと、取引先の方の葬儀に参列することや職場の同僚の結婚に出席する機会があります。このときのご香典やご祝儀代は会社の経費になるのか、というのが前回の記事のテーマでした。

今回は、社内へのご香典やご祝儀代に関して、何を基準に金額を決めればいいのかということをテーマに見ていきます。

従業員への祝い金やお見舞金は“慶弔見舞金”と呼ぶ？

慶弔見舞金とは、従業員やその家族の冠婚葬祭において支払うご祝儀やご香典、お見舞金などの手当のことです。会社の経営と冠婚葬祭には直接的な関連はないように見えますが、会社が慶弔見舞金を支払うことにはメリットがあります。

慶弔見舞金を支払うメリット

• ・支払う対象との関係性をよくする（愛社精神が湧く）
• ・会社の経費にすることができる可能性がある
• ・会社の魅力のひとつとなる（他社と差別化を図ることができる）

また、慶弔見舞金をもらう側のメリットとしては、非課税の所得が増える等があります。

慶弔事・お見舞というのは、いわゆる慣習と呼ばれ、公的に定めがあるわけではありません。
個人もしくは会社が独自に金額や種類の規程を定め、支払うことができる費用となります。

主な慶弔見舞金の種類

種類	内容
結婚祝い	従業員が結婚した場合に支払う祝い金
出産祝い	従業員またはその配偶者が子供を生んだときに支払う祝い金
弔慰金	従業員が死亡した場合に、遺族に支払う弔慰金（従業員の家族が死亡した場合に支払う場合もある）
傷病見舞い	従業員が傷病により休業した場合等に支払う見舞金
災害見舞い	従業員が不慮の災害に見舞われたときに支払う見舞金

ただやみくもに払ってはいけない？

何の規程もなしに支払いを行なっては、その時々によって金額が変わったり、従業員間での差額によるトラブルに発展しかねません。そのため、多くの会社では「慶弔見舞金規程」というような社内規程を定めています。

慶弔見舞金規程の作成は義務ではありませんが、規程を作成していない場合のリスクを考えると、作成しておいた方がいいでしょう。

規程がない場合のリスク

• ・支払いに直面した際に、過去の支払い事例をさかのぼって調べる必要があり、手間がかかる。
• ・支払い額に差が生じ、対象の間でトラブルになる可能性がある。
• ・支払いに対し、会社経費の根拠となる資料がないため、税務上、経費とならない場合がある。
• ・慶弔見舞金を受け取った従業員の給与所得とみなされ、課税所得の対象となる場合がある。

いざ、規程を作成するには？

支払いの根拠や支払う金額に合理性を持たせるためにもきちんとした規程を定める必要があります。
社会通念上相当と認められる金額の範囲内での支給としなくてはなりませんので、慶弔見舞金の相場と照らし合わせながら、慎重に金額を設定する必要があるでしょう。

ポイント1　記載する内容

	内容
支払いの対象となる範囲	従業員の雇用形態や勤続年数の条件を記載し、支払い対象となる従業員を明確にしましょう。
慶弔見舞金の種類と支払い事由	上記の＜主な慶弔見舞金の種類＞のように種類を記載し、それぞれの支給条件を明記しましょう。
金額と計算方法	それぞれの慶弔見舞金の種類ごとに金額を設定し、どういった条件で、いくら支給されるのかを明確にしましょう。 また、金額の設定では、一般常識の範囲内の金額となるように注意しましょう。 規定を作成していても、「一般的ではない」と判断されてしまえば、会社経費として認められなくなってしまいます。
申請手続きの方法と必要書類	慶弔見舞金の支給を受ける為には、どんな書類を準備して、誰に申請すればよいのかを記載しましょう。

ポイント2　留意点

※男女の性別で、支給条件や金額に差をつけてはいけません。

例）結婚退職をする女性には、退職金・結婚祝い金を上乗せして支給する。
傷病見舞金は、男性は50,000円、女性は30,000円を支給する。etc.

男女雇用機会均等法に抵触する恐れがあります。

慶弔見舞金の一例と相場

種類		一例	相場
結婚祝い金		3万円	1～3万円
出産祝い金		1万円	1～3万円
本人弔慰金	業務上	5万円	5～10万円
	業務外	3万円
家族弔慰金		3万円	1～5万円
傷病見舞金	業務上	3万円	3万円
	業務外	1万円	1万円
災害見舞金	全壊	5万円	2～10万円
	半壊	3万円

まとめ

最近では、「失恋見舞金」や「ペット弔慰金」なんていうものもあるそうです。
また、未成年の従業員が働いている会社では、成人した際に「成人祝い金」が支給するところもあるそうです。一風変わった慶弔見舞金を設定して、他社にはみられない魅力を出すのもいいかもしれません。

しかし、相場や一般常識の範囲内で金額を設定するといっても、個人で判断するのには不安が残ることもあるでしょう。労務・税務の専門家である社会保険労務士や税理士などに相談しながら、自分の会社に合った「慶弔見舞金規程」を作成しましょう。